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「光栄な事です……」
「知っていたか? クリスタの部屋はドイツ人の鑑のようだったんだ、君が来るまではね。おかしな話だろ?」
そう言って、腹から笑い声を出す。
「……まさか、わざと汚したんですか?」
「ああそうだ。名目が無ければ、私に融通してもらえないと考えたんだろう。ああ見えて母親譲りの合理主義者なんだ。
最初は、様々な我慢を強いたことへのストレスが爆発したかと思ったが、とんだ勘違いだとすぐ気づいた。
つまり君は彼女にとって魅力的なようだ。聞いているとは思うが、ああいう身だ。だから、嫌でなければ話し相手にでもなってやって欲しい。これが本題さ」
「もちろん光栄です……」
「ここに来た当初、君は自分を殺人鬼と蔑み、動員されたことを伏せて欲しいと言ってきた。覚えてるか?」
「はい……」
「そして君はクリスタを避けていた。血を浴びた命は、血を作る命の側にいるべきでないと考えたのだろうが、どうやら裏目に出たようだな。とにかく変化があったようで良かった」
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