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そう言って立ちあがると目の前に来てしゃがみ込んだ。何をする気だ?
胸元に手をかけ服をずらしたことで顕になっていく胸の谷間に、少しの動揺を覚えたが、すぐに意図を読めた。ごく薄いほくろが稲妻形に並ぶ。なるほどルーン文字か、面白い。
「どう? すごいでしょ?」
「シゲル、太陽だな」
あ……しまった。口を開いてしまった。
「ヒューイ! ヒューイが喋ったーっ!!」
ひょいと立ち上がり両手を突き上げ、勝ち誇り顔。どうしたものか……三秒前に戻れる魔法があるなら、今ここで使いたい。
「やーっとね! これから喋って、良いでしょ?」
顔が近い……まぁ喋ればクリスタの気は済むかもしれない、ここは言うことを聞くのが吉か。
「わかったよ……」
「やったークリスタの勝ちねっ!」
ぴょんぴょんと跳ねるように椅子へ戻ると、優雅にカップを口元へ。勝利の美酒のつもりか?
「なんでずっと喋ってくれなかったの?」
「……それは、言えない」
「えー? それはおかしいわ。今こうやって喋ってるのに」
その健気な瞳をクッキーか紅茶に向けてくれ。俺は逃げるように、紅茶を一口。
「秘密教えてあげたのに、逃げるつもり?」
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