[1]

8/18
前へ
/18ページ
次へ
「……分からないんだ。できるけどそれで良いのか。いれるけどいて良いのか」 「そう……やることも出来ることも限られて。自分のこともわからない。私と同じね」 「同じ……?」  視線を上げた先には、口角を上げて肯定するクリスタ。 「私はアルビニズムだから外に出れない。だから、鳥の囀る庭で遊ぶこともできなければ、ハンブルクのフィッシュマルクトを楽しむこともできないわ。もちろん学校にも行けない」  もしかしたらとは思ったが……。 「さっきのシゲル、そういう意味か?」 「あたり! 不思議でしょー? ホクロがあるなんて。しかもシゲルの形で。だからね、私は日に当たれなくっても寂しくないわ。ここに太陽がいてくれるから」  面白い。まったくシゲルに相応しい前向きさだ。すると俺をまじまじと見つめてくるクリスタ。 「ねぇヒューイ笑ってるの?」 「え? なんだって?」 「ほら、笑ってる!」  何を言ってるんだと思ったが本当だ。驚きで頬が少し落ちた感触があった。笑うなんて何年もせず、とうに死んだと思っていたのに。 「っふふ、笑い方を練習した方が良いわね。窓拭く時に練習しましょ、付き合ってあげる」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加