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「……分からないんだ。できるけどそれで良いのか。いれるけどいて良いのか」
「そう……やることも出来ることも限られて。自分のこともわからない。私と同じね」
「同じ……?」
視線を上げた先には、口角を上げて肯定するクリスタ。
「私はアルビニズムだから外に出れない。だから、鳥の囀る庭で遊ぶこともできなければ、ハンブルクのフィッシュマルクトを楽しむこともできないわ。もちろん学校にも行けない」
もしかしたらとは思ったが……。
「さっきのシゲル、そういう意味か?」
「あたり! 不思議でしょー? ホクロがあるなんて。しかもシゲルの形で。だからね、私は日に当たれなくっても寂しくないわ。ここに太陽がいてくれるから」
面白い。まったくシゲルに相応しい前向きさだ。すると俺をまじまじと見つめてくるクリスタ。
「ねぇヒューイ笑ってるの?」
「え? なんだって?」
「ほら、笑ってる!」
何を言ってるんだと思ったが本当だ。驚きで頬が少し落ちた感触があった。笑うなんて何年もせず、とうに死んだと思っていたのに。
「っふふ、笑い方を練習した方が良いわね。窓拭く時に練習しましょ、付き合ってあげる」
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