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────高校時代
3年生になった頃だった。この頃の私は、他の女子よりも心の成長が少し遅かったのかもしれない。
同じグループになった真代と愛理は明るい性格で、恋愛気質。いつも誰が格好いい、とか、誰が好きとか言っていた。私も恋愛に興味はあったし、誰かを追いかけてる二人と一緒にきゃあきゃあ言ってるのは楽しかった。
3年生になると、追いかける対象の先輩は卒業してしまい、同じ学年に対象が変わった。「この学年なら落合くんか小嶋くんか、芳川くんかなあ。木村と岩田も悪くはないけど」
と、愛理が言って、「あー、私は2組の武藤くんも結構好きな顔」と、真代も言っていた。
私は男子の事を格好いいと思うのは思ったけれど“好き”という感情はまだよくわからなかった。だから、告白もされたことはあったけれど、よくわからないまま終わってしまい、それからは告白も受けることはなかった。
愛理と真代ときゃあきゃあ言ってるのが楽しくて、私のメインはその対象者を追いかけることではなく、きゃあきゃあ言うこと、だった。
「和奏はどう思う?」
「私は、そうだなあ。芳川くんかなあ」
好きとかではなく単純に彼は格好よかったし、誰が見ても格好いいだろうし、対象にするには無難だった。ちょうどいい。だから、そう言った。そう言っただけだった。
「わかる、わかるー!」
って愛理も真代も言って、「おんなじクラスでラッキーだね」と、はしゃいだ。
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