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僕は今日も山道を超えて、ある場所に向かっている。嘘みたいな話だけど、この間 見つけたんだ。洞窟に閉じ込められてる女の子を。そこは檻があって鍵がかかっていて、ほんの少しだけ小さな隙間があったけど、とても出られそうもなかった。暗闇から見える彼女は美しかった。そして透き通った綺麗な目で僕を真っ直ぐ見つめながら聞いた。
「あなたは、こちら側の人?」
僕は、何のことだか分からなかったが思わず頷いた。すると彼女は安心したように微笑んだ。
「よかった。私をここから連れ出そうとする人たちがいるの。あなたも私と一緒なら分かるでしょう?」
僕はなんて言ったらいいか分からなかったが、なんでもいいから彼女ともっと仲良くなりたいと思った。
「君の名前は?」
僕は聞いた。
「名前はあるけど教えられないの。あなたの好きなように呼んでくれていいわ」
「じゃ、ルースって呼んでもいいかな」
僕は今読んでいる小説の主人公の名前をとっさに言った。
彼女は微かに微笑んだ。僕はこれからどうしようもなく【ルース】に惹かれていくことになる。
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