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この国には夢がある。そう言われて素直に信じられるほどリックは若くなかった。背の低いやせっぽちのゲルマン系の顔立ちの男。目立った特徴もない没個性的な男がリックだ。
リックの所蔵している階級はホワイトカラーではないが、ホワイトトラッシュでもない。足を踏み外せば社会の底辺に足が届いてしまいそうなブルーカラーの清掃業者だ。若いころから仕事を転々として、上を目指せなくなったリックが辿り着いたのがこの仕事だ。それほど長い間清掃業をやっているわけではない。
しかしリックはこの仕事をずっとしているような感覚に襲われることが何度かあった。天職というものかもしれない。もしくは自らが追い求め、届かなかった夢への代償行為としてこの仕事を天職だと思い込んでいるのかもしれない。いずれにせよリックはこの仕事をそれほど悪くは思っていなかった。
「清掃ご苦労さん。ここにサインしとくよ」
「はい。確認しました」
とあるビルの掃除を終え、会社の社員から確認のサインをもらう。この社員ともすっかり顔なじみになってしまった。
「さて、会社に戻るか」
リックは駐車場に停めてある車に向かった。清掃作業を終えた軽い解放感と、空を覆わんばかりの摩天楼でも届かない青空を見たからか、リックの気分は良い。そしてその気分のまま、車内に清掃用具をしまおうとリックは車体後部のドアを開けた。
車内の様子を見てリックは自分の目を疑った。そこには少女がいた。少女はロープで縛られ目隠しをされ、口を覆われていた。もちろんリックには業務用の車に拘束された少女を連れ込む趣味は無い。これは夢か幻か。リックは額を手で揉み、目を瞑った。
目を開いても現実は変わらなかった。現実は非情である。
「オレは神様に見放されたのか?意味が分からない」
リックの声に少女は反応したらしい。もごもごと口を動かした。
「何か言いたいことがあるのか?ちょうど説明役が欲しかったところなんだ」
やさぐれた声でそう言い放ち、少女の口を覆う布を外しにかかる。布はきつく縛られていて不器用なリックには布を解くのにかなりの時間が掛かってしまった。
「ぷはぁ!窒息するかと思ったわ!あんたさっさと私を捨てて逃げて!でも、縄はほどいてね」
「状況が分からない。それにあんたを捨てて逃げるなんて人としてどうなんだ?」
「あんた、マフィアに関わりたいの?自分から関わりたいなんて変わった人間ね」
少女の呆れたような返答にリックは困惑した。リックの脳内にもマフィアという文字はちらついていたのだ。しかし、少女の口からはっきりと出てしまった言葉では勝手が違った。冷酷な現実がリックをじっと見つめていたのだ。
「マフィアは怖い。だけど、ここで君を放り出したらオレは一生後悔しそうだ。寝る前だとか食事の時に縛られた少女の幻影に怯えたくはないんだ」
リックの答えに少女は言葉に詰まったらしい。空白の時間が少女とリックの間に漂った。
「助けたことを本当に後悔するわ」
「助けなかった方が後悔するよ」
「お馬鹿さんね。ならすぐに車を出して」
「あ、ああ」
少女を座席に移しリックは掃除用具を積み込んだ。そして、車のキーを回し駐車場を滑り出すように飛び出した。
「なんだ、やっぱり怖いんじゃない。縄は解けたからもう下ろしていいわ」
助手席の少女は、この一瞬の間に目隠しと縄を解いたらしい。何事も無かったように座っている。
「断る。乗りかかった船だからな最後まで見守りたいんだ」
「馬鹿ね。本当にバカ。過剰な優しさはあなたを殺すのよ。ま、いざとなったら私が守ってあげるから」
少女は自信に満ち溢れた声色でリックにそう告げた。リックには彼女がただのひ弱な少女にしか見えない。空元気か何かだろう。縛られて怖かったのだ。
「ねぇ、本当にもういいのよ。私は助かるけどあなたにとっては何もメリットがないわ」
「嫌だと言ったら嫌だね。おっさんの意地だよ」
「分かったわ。あなたの面倒くさい性格に甘えてあげる。私の知り合いの家に送ってくれないかしら?」
少女はリックにとある場所の住所を告げた。少し離れてはいるが、ハイウェイに乗ればそれほど時間はかからない。
「そこでいいのか?オレは会社でお前を匿おうと……」
少女は露骨に「げっ」という表情を浮かべた。
「私は誰も巻き込みたくないの。言っておいてよかった。あなたの会社が戦場になるところだったわ」
最近のマフィアはそこまで危険ではないだろう。少女の大袈裟な言い方にリックは少し笑ってしまった。リックのこぼした笑みを見た少女は、リックに憐みを込めた視線を送った。
「信じてないわね……いいわ。全部話してあげるから」
そう言って少女は自分が縛られてリックの車に積み込まれるまでいきさつを話し始めた。
私の名前はミオ。ファミリーネームは聞かない方がいいわ。とあるマフィアの一人娘よ。敵対組織に狙われてるの。付き人の目を盗んでよく遊びに行くのよ。私って強いから一人でも余裕だと思ってたらお気に入りの店が買収されてたみたいで、睡眠薬を飲まされちゃったの。それで、誘拐されちゃった。
それから、車に乗せられて足が付くのを防止するために他の車に移し替えようとしたみたい。そしてあんたの車に乗せられたの。連中はジェームスクリーニングの車に乗せるとか言っていたけど、あんたの会社ってジェームスクリーニングなの?
リックの会社はジェームスクリーニングという名前の会社ではなかった。ジェーンズクリーニングサービスだ。ミオにそれを告げると彼女はケラケラと笑った。
「バカみたいなミスね。誘拐なんて後先考えないことするんだから、スペルが読めなくても当然かもしれないけど」
ミオはなかなかに辛辣だ。散々罵倒されている間抜けな誘拐犯にリックは少し同情してしまった。
「私がマフィアの娘って分かったけどそれでも、私を車に乗せていていいのかしら?」
リックには彼女を見くびって、ここまで車に乗せてきてしまったことに若干の後悔は有った。しかし、ミオがマフィアの娘だと知っていても自分なら彼女を助けただろうという確信もリックにはあった。
「魅力的なレディを助けるのと引き換えに、スリルを得られるならそれほど損な取引ってわけじゃないだろ。それに俺には妻子もない。田舎のママはとっくに逝って、飲んだくれのオヤジがいるだけだ」
自嘲を込めたリックの言葉に、ミオは少し納得したらしい。ニヤニヤと笑みを浮かべた。
「つまりは独り身の寂しいおじさんが、私の色香に釣られたってことね?」
「そういうことさ」
リックには軽口を叩くくらいの余裕はあった。自己憐憫と自己犠牲からなるロマンチシズムに酔っての行動という指摘もあながち間違ってはいないのかもしれない。少女を乗せてハイウェイを飛ばすロマンスとでもいえばいいのだろうか。過去の自分が聞いても夢物語だと一笑に付しただろう。
ハイウェイを飛ばしている間に、雲が空を覆いつつあった。蒼穹に突き抜ける摩天楼はうっすらとしか見えなくなり、晴れ間のある曇りから、完全な曇り空へと天気は変わりかけていたのだ。
「一雨振りそうだな」
「そうね。傘を持っていないわ」
ミオが傘を持っていないことを案じたことはリックにとって意外だった。彼女なら傘などなくても気にしそうもないものだが。育ちの差とでもいうのだろうか。
「ミオ、あんた傘が無いことなんて気にするのか?」
「私を何だと思ってるの?レディは服が濡れることを好むとでも?」
「すまなかった。あいにくオレにはそういうのと縁が無くてな」
「でしょうね」
酷い言い草だが、その通りだった。過去に好きになった女に渡したプレゼントを質屋で見つけてから、リックは女というものに、恐怖と嫌悪を抱いていた。しかも質の悪いことに、本人にとっては全くの無意識だ。負の循環が生まれていることに、哀れなリックは気が付いていない。
「雨が降って来たわね」
フロントガラスにぽつぽつと当たっていた水滴は徐々に大きくなっていった。そして、土砂降りの雨がフロントガラスに叩きつけられるように降り注いだ。
「酷い雨だ。これじゃあ前がよく見えない」
リックが零したその時だった。後方からクラクションが聞こえた。クラクションは一回では終わらずに何度も鳴らされていた。
「うるせぇな。事故か?雨で滑ったのか?」
リックがそう呟いたと同時に、またクラクションが雨を切り裂いた。
「おい、なんか近づいてきてるよな?悪い予感がするんだが……気のせいだよな?」
「あれ、私の追っ手じゃない?」
リックはサイドミラーを覗き込んだ。そこに写っていたのは車列を割きながら暴走するダンプだった。
「マズいマズいマズい!もう少しで目的地って時によ!飛ばすからなしっかり掴まってろ」
リックはアクセルを踏んだ。タイヤは水を弾きながら回転数を増し、路面を滑るように車は加速した。ダンプも目標が逃げ出したことに気が付いたのだろう。更にスピードを出してリックの車に迫った。
「500メートル先で降りる!追いつくなよ追いつくな!」
アクセルを全力で踏んでいるせいで何度か車はスリップした。だが、幸運なことにそれは相手も同じだったらしく、追いすがろうとする様子は見せるが、追いつかれることは無かった。
「逃げ切った。よし!このまま、突っ切れば!」
ハイウェイの出口に向かって車は滑り落ちるように向かっていく。リックには逃げることしか頭に無かった。窮地に活路を求めたのだ。
「駄目!封鎖されてる!」
「なんだって畜生が!!」
車の速度はすぐに止まれるものではなかった。ブレーキを掛けようにも濡れた路面でスリップでもすれば大惨事だ。リックは車のハンドルを切りつつブレーキを緩く踏んだ。甲高いスリップ音の後に金属同士がぶつかる音が霧雨の中で響いた。
音の割には車の破損はそれほど酷くなかった。だが、もう走行には耐えられそうにない。塗料が剥がれ落ち金属の地肌が剝き出しになったドアに、何かがぶつかった音がした。音は中から聞こえた。ドアが蹴飛ばされ、外側にべらりと剥がれ落ちるように開いた。
霧雨の中、車の外に出たリックは会社の車の惨状と、自分が無傷なことに驚いていた。これほどの事故で無傷であるのは奇跡だろう。リックの後にドアから出てきたミオも全くの無傷だった。ミオは慎重に周囲の様子を伺っているようだ。
「悪いな。お前を送っていくことが出来そうにない」
「別に、
ミオが言葉を紡ぎ終える間もなく、乾いた発砲音が空気を引き裂いた。ミオが気が付いた時には遅かった。リックは足元に出来た水溜りにうつ伏せに倒れ、胸元を赤黒く染めていた。深手だというのが見てわかる状態だ。
「全く、部下の無能には手を焼くよ。女一人攫えない無能がさ」
拳銃をミオに突き付けたまま、男は呟いた。
「抵抗は無駄だ。僕も大事にはしたくなかったよ。無能な味方は本当に厄介だよ」
ミオに向けられた男の眼差しは、家畜に向けられたソレと大差は無かった。銀縁の眼鏡。オールバックに固められた銀髪。そして、髪を引き立たせるような黒いスーツ。それらは、男によく似あっていた。
「君は何の力もない少女だ。そう怖い目を向けても無駄だよ。お嬢さん」
ミオは静かに男に尋ねた。
「どうして、この人を撃ったの?」
「どうして?どうしてだって?随分と詰まらないことを聞くな。見たところその男は、君の身体に欲情したロリコンか何かだろう。大して邪魔にはならないとは思ったけれど、万全を期しただけさ」
男は得意げに言った。それは、自分の頭脳に酔っている人間の話し方だった。
「この人は、ただの善人よ。とても親切な人。それを……」
「それを、なんだって?なんだ、この短い時間に恋の魔法にも掛けられたのか?その薄汚い物体にそれほどの価値を見出せるなんて君はとても優しいな」
目の前の男の態度を見て、ミオに迷いは無かった。
「そう。もういいわ」
「やっと観念したのか。ならさっ
男の言葉は途中で途切れた。そして、男は右手首を抑えうめき声を上げながら地面に倒れた。男の拳銃を握った右手は地面に転がっている。
「痛いッ!僕の手が無いィィィ!!貴様何をした!!殺せこの女を殺せええええ!!!」
男の部下たちが放った数十の拳銃弾が、ミオ目掛けて飛来した。数瞬が経った。だがミオは無傷だった。十数人の怒声や悲鳴は聞こえたが、それはミオにとっては意味のない雑音だった。
「貴様ァァ、僕の部下に何をした!?」
男はネクタイで右手の怪我の出血を止めていた。左手にナイフを構えている。右手を失っても理性を留められるのは強靭な男の精神力がなせるものだろう。
「仲間を殺しやがって!死ね売女がァ!!」
ミオの死角から回り込んだ男が突き出したナイフは空を斬った。そして、ナイフを持った男の腕は男の心臓を貫いていた。男はどうと地面に倒れた。
「ゴードン!!この化け物が化け物が化け物が」
眼鏡はずり落ち、オールバックは血と砂ですっかり汚れている。右手を失った男はゴードンの亡骸に縋り付いて、狂ったように泣いていた。
「来るなバケモノ!ひぃ。嫌だ。僕は死にたくない。神様。お助けください」
男の部下たちも撤退を始めたようで、ミオを狙った発砲は無くなっていた。自分を怖れわめくだけの眼鏡の男を放置し、ミオは死に体のリックの元に向かった。
「リック生きてる?死んでないよね?」
「いき……てる」
虫の囁くような声がリックから返ってきた。ミオはリックの生存に感謝した。だが、この様子ではリックは長くないだろう。土気色の顔色は血が流れ過ぎた証拠だ。
「私の経験上、リックはもう助からない」
「そうか……」
「でも、私は特別だからあなたを助けられる」
リックは血を吐いた。最後の力を振り絞って何かを言おうとしているように、ミオには見えた。
「安心して。私って特別なの。異能力になんて今まで感謝してなかったけれど、今は感謝してあげる」
ミオの異能である“転換”は強力な異能だ。位置を転換することも可能だし、物質を転換することもできる。生命や怪我も例外ではない。もっとも副作用は存在するが……
「リックを救う。簡単なこと」
ミオは能力を行使した。リックの傷口が輝き、怪我が逆再生のように元に戻っていく。
「駄目。これじゃあ足りない!」
もし、ミオが戦闘で異能を行使していなければ、リックの怪我が軽ければ、この結果は違っていたのかもしれない。だが、それはIFの話である。リックの命を救うには代償が必要だったのだ。
「リックごめん。でもあなたを救うためだから」
ミオはその代償を許容した。リックの身体に光が纏わりついていく。光が収まるとリックの姿は変わっていた。背は全体的に縮み、顔立ちは幼くなり、白髪交じりだった茶色の髪からは白髪が消えていた。どう見てもリックは少女にしか見えなかった。美少年という可能性もあるが、はだけたシャツから覗くふくらみが、その可能性を限りなく低くしている。
「リック……?」
ミオは呆然と立ち尽くしていた。そして自分の異能を呪った。代償を許容はしたが、リックがこのような姿になることは想定の範囲外だったのだ。転換の異能で性転換させれば、元に戻るだろうか?ミオは転換を行使しようとしたが、リックの体内を対象に指定しようとして拒絶された。
「キャンセルされた。これは、異能によるもの……まさかリックに異能が芽生えた?」
ミオの経験は、この拒絶を異能によるものだと判断した。リックは少女になったばかりではなく、異能者になってしまったらしい。本人はまだ意識を取り戻していないが、この事態をどうやって説明したらいいのだろうか。ミオの脳細胞が答えを出す前に、締め切りはやってきてしまった。
「生きてる?怪我がない?はっ?オレの声どうなってるんだ?」
リックは疑問符に全身を埋め尽くされているようだった。きょろきょろと当たりを見回したり、だぼだぼになった作業着袖を眺めている。雨が上がった空には虹が掛かっていた。ミオはどうしょうもなくなったのでぼんやり虹を眺めていた。
「ミオ、このカワイ子ちゃんは誰なんだ?」
「あなたよ。リック」
「だよなぁ……」
御通夜もかくやという空気が二人の間には漂っていた。しばらくの間、沈黙が続いたがリックが口を開いた。
「オレは、車を事故って拳銃で撃たれたんだよな?それで、あの世に行きそうになって、気が付いたら美少女で傷もない。不思議なこともあるものなんだな……」
ミオは下手人が自分であることを告白できなかった。温厚なリックでも激怒するのではないかという恐れがあったからだ、
「警察がすぐに来るでしょう。ここを離れるべきよ」
話題を逸らそうとしたミオの発言にリックは引っかかった。警察という単語はリックに自分の身に起きた不可解な事例を棚上げさせるには十分だったようだ。
「そうだな。すぐに離れよう。ミオの目的地がすぐだったよな?」
「そう。私が案内するから」
リックの内心は大破した会社の車と、車がぶつかったせいで破損した壁の賠償金で一杯だった。彼、もとい彼女にとって少女になっていることの原因究明を先送りするくらいには、心配なのだ。なので、ミオの案内するという言葉はその現実から離れられる、甘い言葉であった。
ハイウェイから少し離れたところにあるその一軒家に辿り着くまで、リックの内心はがくがくであった。客観視するとリックは事故現場から逃げている犯人そのものである。手錠を掛けられてもおかしくはない立場なのだ。
辿り着いた一軒家は、リックのような階級の人間にとってはテレビの中で見るようなものだった。三階建ての巨大な邸宅で、家の周囲は高い金属製のフェンスで覆われているのだ。尻込みするリックをよそに、ミオは堂々とインターフォンを押した。
「はいはーい。ボクに用があるとはだれかな?」
「私。ミオよ」
「ああ。マフィアのスイーツ好きな。で、その連れは誰?」
「彼は、いえ彼女はその……」
インターフォン越しに聞こえてくる声は、家の主にふさわしくない少女のものだった。少女は面白そうだからという理由でリックが家に入ることを認めてくれたらしい。
「うわっ……」
「これまた酷くなってるわ」
リックとミオが室内に入り目撃したのはゴミの山だった。外見は立派だが中身はゴミ屋敷であるらしい。一面に敷き詰められたゴミだが、その中に獣道のようなものが存在しており、そこを移動しているようだ。その証拠に、白衣の少女がこちらに向かってくる。
「なにさ、その目は?ボクに何か言いたいことがあるのか?」
「その恰好はどうかと思うんだ」
「ダボダボのファンキーな作業着を着ている君に言われたくないね」
少女の格好は、白衣にショーツというものだった。リックの格好と比べても負けず劣らずのインパクトだ。
「君も異能者なんだろう?能力はどんななのかな?」
「異能者?なんだそれは?」
「やれやれ、そこからなのか……君はとても幸運だ。天才たるボクの教えを直々に受けられるのだからね」
白衣の少女はリックに異能について教えることにしたらしい。腰に手をやって偉そうにしている。長そうになる少女の説明にリックは内心でやれやれと呟いた。
少女になった男にとって、激動の日々がこれから始まるのだが、それは別の話だ。
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