嘘つき

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周りの人間全てが嘘つきだ。 そしてそれは自分だけじゃなくて 他の人間も同じことを思っていると疑わない。 なんでこんなことを書くのか分からない。 寒い。指先が痛いくらい寒い。しばらくするとむしろ暖かくなってくる。 電車が遅れて暇だから駅の周りをフラフラしていた。歌を歌った。そこそこ大きい声で。ただ人に気持ちをさとられるのは嫌だから英語の歌にした。 僕は思う。独り言の音量が大きい人は 話し相手がいないから自分と話していて 空間的に周りにいる人間は 自分の人生に影響を与えないと思っている。それでもやはり淋しいから声には出す。他人をどうでもいいと思っていてかつどうでもいいわけはないと思っている。どっちが本当かわからないから声を出す。不明瞭な苦しみから呻きのような声を出す。 歌いながら僕は思った。そうした人は可哀想だと。 そろそろ時間かと思っていたらまだ余裕があった。僕は歌いながらエスカレーターを降りて、ホームにいた。止まっていても寒いからホームの端を行って返った。プリンスやマイケルの歌を歌っていた。 彼らが生きていたらな と思う。彼らが生きていても僕の生活は変わらないが この世界のどこかで彼らが素晴らしい音楽を作っていると思ったら世の中が虚しくない気がする。 いや、そんな考えはやめようと思う。 歌の内容にそぐわないから。 来た電車に乗った。
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