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草8⁉:魔法使いと猫の内緒話
「いや~、大変だったね! まさか、八百屋に行ったら七草が売り切れてた~ってのが、こんなことになるなんて!」
“魔法使いさん”と名乗っていた青年が屋敷を背に草むらを歩きながら、肩に乗せた黒猫に話しかける。
「ふん。何が、七草粥が作れなくなったから七草の花言葉で短編作ろう! だ。結局、間に合っていないではないか。そこかしこに回収されないフラグが立ちっぱなしだぞ」
青年の肩に乗った黒猫は不機嫌さを全開にする。
「ははっ、ほんとだねぇ! 内緒話なんて、収まらずにはみ出しちゃったしね~☆
いやー、途中どうなるかと思ったよ。最後だけ、先に押さえといてほんとに良かった!」
黒猫の不機嫌さを全く気にせず、青年は続ける。
「ラスト10分の“ゴギョーさん”の追い込み、最高でしたよ? 何が起こってるのか、絶対に伝わってないもん! 本当に日付が変わる10分前にそこにいた~なんて、ぜーったい今の今までみんな知らないよ? ははっ。でも、あー! たのしかった!」
「ふん、何が“ゴギョーさん”だ。良いように使いおって。伝わってないも何も、あの時間で作り上げられる展開なんぞたかが知れてるわ。何が起こっているのか、ではなく、何も起こせなかったからすっ飛ばしたんだ」
「ははっ。違いない!」
青年は足を止めると歩いて来た道を振り返り、屋敷を見上げて苦笑した。
「さて、今回は“魔法使いさん”と黒猫の“ゴギョーさん”になったわけだけど。次はどうしようか? 何になりたい?」
「ふん。何が次だ」
「ごめんごめん、僕だって、実は全世界の皆々様に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだよ? そんな冷たい顔しないでよ~」
「だったら、次はちゃんと事前に用意しておけ!」
黒猫は吐き捨てるように言うと、苦笑する青年の肩でひとつ、ニャーと鳴いた。
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