第一章

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「はぁ………もう!少しだけですからね」 少しだけと王子の傍に行く。 何であれ、仕事をやる気になった王子の すぐ横に立って横から眺めていようとしたら 手を思い切り引っ張られ重心を崩す。 「な……ちょっ//////」 「ん、どうかした?」 どうかしたじゃないよ、何よこの体制! 手を引っ張られ重心を崩した私は そのまま王子の膝の上に 抱えられてしまった。 離れようにも後ろから がっちりホールドされて動けない。 「僕がほんの少しの時間だけで 君を帰すと思った?」 「いい加減にしてください、王子!」 「はははっ、怒った顔も可愛い」 馬鹿にしてる? 王子が何考えてるのかわからない。 初めはこんなじゃなかったのに。 5年前、当時10歳だった 王子は誰よりも冷静で大人しかった。 冷たいとさえ思ってしまうほど無感情で。 接していくうちに段々心を 開いてくれるようになったけど、 それでもあまり感情を表に出さない子だった。 今とは全く違う。 この5年間に何があった。
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