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「……………やっぱり」
「え?」
私が思い出を振り返っている間に
髪留めを取られた。
まとまっていた髪は一気に下に靡き
いつもの結んでいない髪型になった。
「僕はおろしてる方が好きだな」
「そんなことより仕事しなさい
一昨日から全く進んでいませんよね!」
「リーゼがもう少しくっついてくれたら
やる気出るかも」
「既に距離は近いです!0距離です!!」
やっと集中してきたのか
真剣な表情で手を動かす王子。
片方の手は未だガッチリと
私をホールドしているけど。
「これじゃあ動けない………」
「え、動く必要が何処に?」
「あります!このままだと掃除が出来ません!!」
<あんなのより、ぼくのほう>
「屋敷の掃除より、王子の世話が大事でしょ」
ああ言えばこう言う………
それから暫くの間
私は王子のガッチリホールドから
逃れることは出来ず、
結局いつも通り王子の気が済むまで
仕事をサボることになってしまった。
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