第一章

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「……………やっぱり」 「え?」 私が思い出を振り返っている間に 髪留めを取られた。 まとまっていた髪は一気に下に靡き いつもの結んでいない髪型になった。 「僕はおろしてる方が好きだな」 「そんなことより仕事しなさい 一昨日から全く進んでいませんよね!」 「リーゼがもう少しくっついてくれたら やる気出るかも」 「既に距離は近いです!0距離です!!」 やっと集中してきたのか 真剣な表情で手を動かす王子。 片方の手は未だガッチリと 私をホールドしているけど。 「これじゃあ動けない………」 「え、動く必要が何処に?」 「あります!このままだと掃除が出来ません!!」 <あんなのより、ぼくのほう> 「屋敷の掃除より、王子の世話が大事でしょ」 ああ言えばこう言う……… それから暫くの間 私は王子のガッチリホールドから 逃れることは出来ず、 結局いつも通り王子の気が済むまで 仕事をサボることになってしまった。
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