第3ミッション嫁に下さい。

39/45
前へ
/338ページ
次へ
バイクでは何回か来た思い出の海。  思い出の海を過ぎれはアケビさんの住んでいた実家が有る。 「アケビさん、今日は快晴ですね。」 「……。」 「アケビさん、海に合う曲を聴きましょうか?」 「カトケンさん、音楽はいいわ…… 窓を開けて良いですか?」 「は、はい。」  アケビさんは窓を開けて、さらりとしたショートヘアーが風に揺れ、瞳には薄らと涙が浮かんでいた。 「あそこの海岸から右だよ。」  狭い路地を抜けたら小さな集合団地が有った。  決して新しい建物ではなかった……  駐車場に車を止め、アケビさんの親が住む4階へと階段で向かった。  僕はアケビさんの後ろをついて行くだけだ。  もう、心臓が爆破しそうだ。  アケビさんは深呼吸して玄関のチャイムを鳴らした。 「あ、明美かい!お父さんも明美の帰りを待ってたんだよ。  待ち切れなくって、さっきコンビニにジュースとお菓子を買いに出掛けたわ!  もうすぐ帰って来ると思うけど……」 「お父さん……⁇  私のお父さんはもう、天国に行ってるから居ないよ……」
/338ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加