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バイクでは何回か来た思い出の海。
思い出の海を過ぎれはアケビさんの住んでいた実家が有る。
「アケビさん、今日は快晴ですね。」
「……。」
「アケビさん、海に合う曲を聴きましょうか?」
「カトケンさん、音楽はいいわ……
窓を開けて良いですか?」
「は、はい。」
アケビさんは窓を開けて、さらりとしたショートヘアーが風に揺れ、瞳には薄らと涙が浮かんでいた。
「あそこの海岸から右だよ。」
狭い路地を抜けたら小さな集合団地が有った。
決して新しい建物ではなかった……
駐車場に車を止め、アケビさんの親が住む4階へと階段で向かった。
僕はアケビさんの後ろをついて行くだけだ。
もう、心臓が爆破しそうだ。
アケビさんは深呼吸して玄関のチャイムを鳴らした。
「あ、明美かい!お父さんも明美の帰りを待ってたんだよ。
待ち切れなくって、さっきコンビニにジュースとお菓子を買いに出掛けたわ!
もうすぐ帰って来ると思うけど……」
「お父さん……⁇
私のお父さんはもう、天国に行ってるから居ないよ……」
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