第3ミッション嫁に下さい。

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 食事が終わり、カラオケ大会が始まった。  この部屋は以前、アケビさんの部屋……  僕はアケビさんの育った部屋を見渡した。  部屋の隅の柱には身長を測って彫られた跡が有った。  もしかしたら、前の亡くなったお父さんと過ごした思い出かも知れない。  まずはお母さんがフリフリと腰を動かし、歌い出した。 「あっ、聴いた事有ります!おニャン子クラブのセーラー服を脱がさないでですよね!お母さん、お若い!上手いです。」  僕は、少し気持ち悪かったがお母さんに思いっきりヨイショをした。  そして、お父さんも田原俊彦の歌を歌い出した。  僕のお母さんは田原俊彦のファンクラブに入っていて、小さい頃から聞かされたから知っていた。  でも、お父さんが歌ったらダサかった。  どう見ても、二人とも青春の時の曲みたいだ…… 「健二さん、どう?一曲歌ってよ。」  無理な注文に僕は仕方なく、曲を選んだ。  僕も合わせなくてはいけないのか…… 「赤いスイトピーをお願いします。」 「えっ、聖子ちゃん……」  もう、すでに手が震えてる……
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