第3ミッション嫁に下さい。

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 僕は緊張したが、不思議と歌を歌いだしたら震えが止まり、自分の世界に入れた。 【♪♪♪何故、知り合ったのに、半年過ぎても貴方って手も握らない……♪♪♪】 「う、上手い、上手すぎるよ!健二さん。」 「なんて、透き通った声なの……」  皆んな、僕は歌い終わったのに誰一人、目を開けない。  どうしたんだろう……  皆んな退屈で寝てしまったかも……  歌い終わったとたん、また緊張からか手が震えだした。  何故か、アケビさんの目に涙が浮かんでいた。  そしてアケビさんが…… 「カトケンさん、この曲、カトケンさんの曲みたい…… 私と初めて会って、今でもカトケンさんの優しさは何一つ変わっていない。  でも、カトケンさんはどんどん強くなってる。  変わらないのは私、私だけね…  お母さん、ごめんね……  私、意固地になってた。  筑紫さんとは何年経っても私のお父さんじゃないけど、お友達なら構わないよ……」  あっ……何だか良い場面だ。  いい曲は、人の心を動かすって誰かが言ってたが、僕の歌でもアケビさんは心を動いてくれたのだろうか……⁇  そう言えば、お父さんとお母さんに結婚の承諾を貰わないと……  いつ言ったら良いんだ。  今、言ったら最高の場面を台無しにしてしまう。  空気を読まなくちゃ……  あっ、ツクシさんの動きが変だ。  何故かモゾモゾしてる…… 「ア、アケビさん、健二君、私達の結婚を認めて下さい。」  えっ……なんだって!ツクシさんに先を越された! 「ツクシさん……私、アケビじゃないです。  アケビを許してるのはカトケンさんただ1人! でも、ツクシさん、お母さんを幸せにしてね! 裏切ったらタダじゃ済ませないよ。」 「は、はい。誓います。」 「じゃ、約束!」 アケビさんとツクシさんは指切りげんまんをした。 「あの〜、ぼ、僕もアケビさんと…け、結婚させて下さい。」 「明美を宜しくお願いします。明美を幸せにしなかったらタダじゃ済ませませんよ。」 「は、はい。幸せにします。」 何故か僕とツクシさんは二人で抱き合い喜んだ。  僕達四人は仏壇に座り、亡くなったお父さんに結婚の報告をした。  仏壇に置いてある写真のお父さんは、何故か微笑んだように見えた。 これは第三ミッション成功なのか?⁇ 「さぁ、次のミッションは結婚式探しだね!アケビさん。」 「そうだね!カトケンさん、私を幸せにしてね!」
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