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僕は久しぶりに仕事に行った。
「一週間も休んだんだから契約ボンボン取ってこいよ。
来月カトケン君、結婚するそうじゃないか？
何故、部長の私に一言も相談しないんだぁ……
さっき、お前の同僚の松井に聞いて初めて知ったよ。
結婚するんだったら尚更だろ……
営業ノルマを超えないと生活出来ないぞ！
結婚式は何人呼ぶんだ？
会社の上司挨拶は、私しか居ないなぁ……
仕方ない！俺にまかせろ！」
いつも部長はこんな調子だ。
人の祝い事を好んで出しゃばるタイプの人だ。
「ま、松井君、皆んなに言ってるんですか？」
「知っているのは私だけだ。
カトケン君の結婚話なんて誰も興味ないからな……」
僕は気にする事なく営業に回った。
久しぶりの営業だったので感が戻らず、新規で店舗に化粧品を置かせてくれる所はなかった。
最後にお得意先の店舗に立ち寄った。
「あっ、加藤君、SNSで大変な騒ぎになってるよ！
この動画みてよ。」
その動画にはレース会場で歌った僕の顔がアップで映っていた。
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