79人が本棚に入れています
本棚に追加
僕はその日から時の人になった。
「おい、あの根暗な奴がネットで話題の人物とはね！」
「ほんと！存在感がなかったから気付かなかったけど良く見たらイケメンよね！」
「動画の歌、聞いた？」
「聞いたわよ！訳の分からない曲だったけど、透き通る声で心臓がドキドキしたわ！」
「ネットで話題騒然よ！」
「仕事辞めて芸能界に入るのかしら……？」
「噂じゃ、会社が引き止めて部長昇進になったみたいよ。」
「えっ……この前まで、営業成績ダントツ最下位だった加藤君が営業部長に〜〜」
「内緒よ！まだ辞令が正式に出てないからね！」
僕は迷った。
芸能界に入れば一気にスターダムに上がれる。
この会社に残れば部長って言っても所詮は会社から上手いように利用されるだけだろう。
僕は、天秤に掛けたら芸能界が楽しそうに見える……
でも、昨日のアケビさんの態度、僕は芸能界に進むなんて口が避けても言えない。
どうしよう………
取り敢えず、帰ってアケビさんに謝ろう………
「アケビさん、昨日はごめんなさい。」
最初のコメントを投稿しよう！