79人が本棚に入れています
本棚に追加
そして二か月が過ぎ、万福村が秋を迎えた。
ツクシさん達は古民家を改装してカフェをオープンさせていた。
最初は、全く人が入らなかったがツクシさんの以外な珈琲知識を活かして噂が広まり、遠方からも客が来るようになった。
ワラビお母さんの素朴な料理が古民家の雰囲気とマッチして店は大人気だ。
そしてツクシさんが趣味にしている、ジブリのキャラクターが店に溢れてネットではジブリの喫茶店って呼ばれるようになっている。
「ツクシさん、凄いですね!大反響じゃないですか。」
「健二君、まだまだですよ。僕の思ってる珈琲が作れなくって……
オリジナルのコーヒー豆を作りたいんだ。
いずれはコーヒー畑を作ろうと思ってます。」
僕は思った。
いったい僕は何をやってるんだ……
ただ、自分の人気に逃げ出して僕は田舎に隠れてるだけじゃないか……
皆んな、新しい生活を作ろうとしてるのに僕は何一つ変わっていない。
アケビさんだって、プロのバイクレーサーになってメキメキと頭角を現している。
今では僕の噂をする人はいなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!