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その日以来、僕の家には沢山の人が集まっていた。
3時間に1本だったバスは、家の前にバス停が出来て観光客まで訪れていた。
どう言う訳かバス停の名前も【カトケン邸】になっていた。
そして、夕方に訪れていた子供達も親から、問題が起こったら大変って言う事で誰一人、僕達の家にやって来なくなった。
『毎日、うるさい奴らじゃ!
今度も皆んな、呪いってやるかいな!』
『そうじゃの〜トメさん。』
『駄目ですって!呪いなんて!私は早く成仏したいのに、そんな事をしたら神様が怒られますって!』
『じゃ、どうするんじゃ……』
『私の明美ならきっと、良い解決策を見つけるはずです。
あの子は、何でも出来る子なんです……』
「カトケンさん、店のパンは直ぐに売り切れるけど、皆んなパンを求めてじゃないよね……」
「うん、僕は全然、店のホールには顔を出していないけど、一馬君の人気だって凄いから店は無茶苦茶だよ。」
「明姉さん、師匠、オレ嬉しんだ!だってこんなに人気者になったのは初めてだから!」
「……。」
「取り敢えず、カトケンさん、ネットで販売したらどうだろう……
石窯で焼いてるから、多少時間は経っても味は落ちないと思うし……」
「そうだったね……でも、沢山の観光客とかマスコミはどうしょう……このままだと生まれて来るあゆちゃんが心配だよね。」
「師匠、お腹の赤ちゃん、あゆって言う名前か?」
「一馬君、何で僕には敬語じゃないの?」
「すまないよ。師匠」
「……。」
「カトケンさん、明日、皆んなの前で言おうよ。」
「普通の生活がしたいって!」
「オレ、嫌だなぁ……チヤホヤされたいし……」
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