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翌日の朝も家の前には沢山の人達が集まって、中にはバスガイド付きで団体ツアーの人までも来ている。
「ア、アケビさん、僕は、い、言うよ。」
「おっと!カトケンが現れたぞ!」
僕はどうも世間からもカトケンって呼ばれてるみたいだ。
「カトケンさん!カッコいい!
あれっ、隣に居るのはアホ一馬じゃない?
やっぱりカトケンと比べると天と地の差ね!
あっ、あれっ、明美さんも出て来たよ。」
「あぁ、新星のごとく現れた走り姫だろ!」
「大きなレースで転けて今は休んでるみたい。」
「いやっ、明美さんは妊娠してるそうよ。」
「み、皆さん、ちょっといいですか?
ぼ、僕は加藤健二と申します。」
「もちろん、知ってるよ〜」
「ぼ、僕達を応援して下さりありがとうございます。
しかし、僕は芸能人でもなく普通のパン職人です。
夕方になったら、お腹を空かした子供達が来てました。
しかし、今は人の多さに子供達は恐れて中止にする事になったんです。
どうか僕達を自由にして下さい。」
「分かったよ!」
「頑張って!カトケンさん。」
「明美さん、元気な赤ちゃんを産んでね!」
「一馬君、もうちょっと勉強してね!」
それはテレビでも流れたが、まだ僕達の家を覗く人は後を経たたない。
これでも僕達の願いは届かなかった……
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