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スタジオには何十台もの救急車が失神した人達を次々に運んでいた。
「す、すみません……な、な、何が起こったんですか?」
「カ、カトケンさんの歌に失神者が続出してます。
わ、わ、わ、私も胸が張り裂けそうです。」
僕はいったい何が有ったのか分からなかったが、どうも僕の歌で何人もの人が失神したみたいだ。
やっぱり、僕は失神させるぐらい音痴なんだ……
取り敢えず、この場から早く視聴者に伝えて逃げないと……
「あ、あ、あの〜僕から一言、宜しいでしょうか?」
「は、はい。
あっ、ただ今、テレビを観てる視聴者もカトケンさんの歌に痺れて多くの失神者が出てる模様です。」
え、えっ……僕の歌に痺れて……⁇⁇
「そ、それではカトケンさんどうぞ!」
僕はカメラに向かって話し出した。
「ち、ちょっといいですか?
ぼ、僕達家族をそっとして貰いたいんです。
今日で僕はテレビにも芸能活動は辞めて、パン屋で頑張ってます。
そして僕の作ったパンを待ってる近所の子供達がいます。
どうか僕達を陰で見守って下さい。」
僕達を守ってくれる親衛隊まで出来た一方で変な噂まで飛び出した。
【以前、加藤家に覗きに行った時、多数の災難が有った。
今回はカトケンが歌えば大勢の失神者が……
カトケンは不思議な呪いの力を持っている。】
アケビさん、あれから僕達の家に誰も来なくなったけど、夕方になっても近所の子供達も来なくなったよ〜
「子供達はすぐに戻ってくるよ。
カトケンさん、師匠みたいに食パンを道の駅に出したらどうだろう。
名前を出さないで……」
「ネット販売と道の駅の販売だったら、これから村も静かになるかも知れないね。」
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