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そして1年が過ぎ、歩美と歩夢はスクスクと成長している。
歩美は誕生日前から掴まり立ちをし出して今では3、4歩まで歩けるまでになった。
一方で歩夢は歩美の姿をじっと見ているだけ……
寝返りだって歩美の方が早かった。
「アケビさん、歩夢、大丈夫かな……?」
「カトケンさん、子供だって個人差が有るんだよ。
シャキシャキしてる子供も居ればのんびりした子供だっているんだし。
比べたら駄目だよ。
赤ちゃんだって敏感なんだよ。」
最近、僕は仕事に追われて表だけの歩美と歩夢の姿しか見てなかったのかも知れない。
育児だっていつの間にかアケビさんに任せていた。
「カトケンさん、来月から育児休暇も終わったから美肌化粧品でバイクレーサーに戻らないと……」
「えっ、アケビさん、現役続行するの?」
「当たり前でしょ!美肌化粧品とはスポンサー契約してるし、全日本ロードレースでも今ではランキングにも名前が入ってないんだよ。」
「アケビさん……歩美と歩夢は?」
「もちろん、今まで通り面倒みるよ。
でも、これからはカトケンさんの力も必要なの!子育ては2人が頑張らないと乗り越えないよ。
まぁ、試合は毎日ある訳でも無いし練習場は直ぐそこだから1、2時間走れば、練習はおしまいで直ぐに戻ってこれるし!
その時間だけカトケンさんが見てくれたら大丈夫だから!」
それは一方的にアケビからの話だった……
僕は武蔵さんみたいに育児に積極的に出来るんだろうか⁇
武蔵さんは言っていた。
子供は愛情を掛けただけ必ず子供は分かってくれるって……
僕が逃げていたら子供だって大きくなったら、全く相手にされない父親になってしまう。
そうだ!
アケビさんが仕事に行ってもツクシさんやワラビさんの所に連れて行ったら、歩美も歩夢も喜ぶし、ツクシさんやワラビさんもきっと喜ぶはずだ。
これは一石二鳥だ。
僕も少しは楽が出来る。
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