第7ミッション        僕、イクメンになります。

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「アケビさんの休みの日、街に出て歩美と歩夢のオモチャを買いに行こうよ。  うちには2人のオモチャ全然無いし……」 「オモチャ……⁇カトケンさんオモチャなんて要らないよ。  ここ万福村は子供達が遊ぶ物が沢山有るよ。 ドングリに松ぼっくり、それに沢山の昆虫まで居るんだよ。  今でも、歩美と歩夢は松ぼっくりとあそんでるよ。」 「でも、1つくらいオモチャを与えても……」 「私は要らないと思う。」  どうもアケビさんは自分の信念が有るみたいだ。  確かにここ万福村には都会には無い物が沢山ある。  歩美は1歳になって虫を怖がらずに触ったり、何でも興味を持つ子だ。  近所の子供達が夕方遊びに来てもいつも笑顔で喜んでる。 「あそぼ!あそぼ!」  言葉も少しずつ覚えている。  しかし、歩夢は……… 「ぎゃ〜っ、ぎゃ〜っ」  昆虫なんて触ろとうもしない。  近所の子供が遊びに来ても固まっている。 「おじちゃん、おばちゃん、お腹空いた!食パン食べさせて!」 「ちゃんと手を洗った?」 「汚い手で歩美と歩夢を触らないでね。」 「分かってるよ!  あっ、歩美ちゃんと歩夢君にオモチャを持って来たんだぁ……」 「オモチャ?」  子供達はポケットからミニカーを出した。  アケビさんは黙って歩美と歩夢を見てる。  歩美は急いでミニカーに飛びついた。  歩夢は不思議そうにミニカーを眺めてる。  歩美は面白そうに遊んだ。  しかし、直ぐに飽きて昆虫と遊び出した。  歩夢は歩美が遊んでいたミニカーをゆっくり大事に転がした。 「ブーブー、ブーブー」  歩夢が初めて喋った言葉はパパ、ママでは無くブーブーだった。 「カトケンさん、今度、街に行ってオモチャを買いに行こうかぁ……  この前はごめんね。  子供って皆んな性格が違うんだよね……」
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