第7ミッション        僕、イクメンになります。

14/98
前へ
/338ページ
次へ
「アケビさん、今度のレース8月20日でしょ。  でも、万福村の夏祭りは8月10日だよ。  夏祭りの神輿なんて担いで、もし怪我でもしたら大変だよ。」 「それがね、神輿のてっぺんに乗って大頭取になってくれないかって!  今までは女性は駄目だったけど、なり手がいないしプロのバイクレーサーだから私に白羽の矢が立ったみたいなの!  毎年の行事で隣村の宝福村との神輿喧嘩祭りをするんだって!  面白そうでしょ!  私、その場でオッケーしちゃった。」 「神輿喧嘩祭り……?」  どうも伝統で万福村と宝福村がお互いの豊作を祈って始めた祭りだそうだ。  しかし、4年前に死者が出たそうだ。  当時78歳の大頭取が神輿のてっぺんに登り 闘う前に足を滑らせ落下したそうよ。  名前は亀乃屏介って言っていた。 『お前さん、神輿から転落したんかい?  それも、闘う前にかい?』 『ちょっと足を踏み外して……』 『屏介さんって結構、ドジですね!  そう言えば、私の馬小屋、2人がやって来んですよ。  前の部屋に戻って良いですかね……』 『何でワシらに聞く?勝手にすれば良いじゃないか!  今年の神輿喧嘩楽しみじゃ!あの娘が神輿に乗るそうだぞ!』 『あ、明美がですか? 大丈夫なんですか?私、心配です。』 「楽しみだなぁ〜  ママ、神輿のてっぺんに乗るんだよ。 ちゃんと見ててね!歩美ちゃん歩夢ちゃん!」  本当に大丈夫なんだろうか……  僕は心配事が多すぎる。  明日からムサシ君も働き出すって言ってるし、夏祭りが終わればアケビさんの夏のロードレースが待っている。  この人の野望は何処まで続くのか……
/338ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加