第7ミッション        僕、イクメンになります。

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 村長を選ぶ公約説明会が行われていた。 「オレ、一馬、今度の村長にオレ、立候補するんだぞ!  皆んな、オレに入れてくれよな!  絶対、オレ、万福山に沢山の家を建てるのは反対なんだ!  山には春を過ぎると竹の子だって採れるし秋になったら栗も採れるんだぞ! それに沢山の動物だっているんだぞ! 熊にシカに……キリンやら」 「キリン⁇⁇」 「あの子、敬語も喋れないの⁇⁇  それにやっぱりアホぽいね……キリンだって!」 「一馬さんは移住者の支援は?」 「………。」 「一馬さんは万福村の過疎化対策は?」 「……。」 「一馬さん、移住者がどんどん増えてます!  対策は?山を宅地にしないと移住者の受け入れは困難ですよ。」 「……。」 「あの子、駄目よ……あんな子が村長になったら大変よ。」 「でも、あの子、イケメンよ。  そしてあの子が村長になったらカトケンさんも村長会議に顔を出してくれるかも」 「私、一馬に入れちゃおうかな?面白そうだし!」 ー役場、村長室ー 「村長、大変です。  村民世論調査で一馬が過半数を超えてます。」 「何だと!村民もアホなのか?あんな奴が万福村の村長になったら村は無茶苦茶になるぞ!」 「この際、山の宅地計画を中止して村民に謝っては……?」 「せっかく、宅地計画をしていた建設会社から莫大な金が入って来ると言うのに……」 「村長、そうなんですか?」 「あっ……今の話は内緒だぞ!黙ってくれたら1割あげる。」 「でも、一馬が当選したら全てパーですよ。」 「わ、分かった……山の宅地計画は中止して村民に謝るよ。」 「ムサシ………オレやっぱり村長立候補を辞めるよ……オレには皆んなの言っている意味がサッパリ分からないんだ……」 「それがいいよ。」
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