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万福村保育園
「ツクシさん、おはようございます。」
「健二君、おはよう。
どうしたんだい?何だか笑顔が無いけど……」
「歩夢と歩美を預けたら、ちょっとだけ時間を頂けませんか?」
「どうしたんですか?急にかしこまって……」
「す、すみません。後で……」
その場になり、僕はツクシさんに意見するのに躊躇したが、どうしてもツクシさんに伝えたい。
僕は歩夢と歩美をリス組の部屋に連れて行き、園長室に入った。
「健二君、どうしたんですか?」
「じ、実は今度の音楽発表会の事なんですが……」
「歩美ちゃんと歩夢君はまだ1歳だから音楽発表会には出ないよ。」
「僕達の子は良いんです。
最近、引っ越して来たヨシ君が、僕はハーモニカが吹けないから吹くマネだけで良いよって先生に言われたみたいなんです。」
「えっ、そうだったの、知らなかった……
それはヨシ君のプライドに傷を付けたね。
実は、音楽経験の有るモナカさんに今度の音楽発表会の進行役を頼んだんだ。
モナカさんは元気が良いから素晴らしい発表会を期待してたんですが……
後でモナカさんに厳重注意しておくよ。
ヨシ君にも僕から謝っておくから健二君は安心して!」
僕はショックだった。
まさか、モナカさんがヨシ君にそんな事を言うなんて……
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