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僕らは生きている。そして生きている限り、大切な何かを無くしてしまう。
失って、無くして。見失って、亡くして。忘れて。胸にだけ閉まって。
そしていつか、最初から何も無かったかの様に生きる。
いつか幸せになる。いつか、幸せになれる。「いつか、いつか。」
そんな日々がくれば良いのにと。そんな幸せな日々を想い描く日々である。
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僕は、彼女の事を忘れたことが無い。
僕は、彼女の事を、一日たりとも、朝起きて目が覚めて、夢から覚めて、眠りに落ちるまで。僕らの白昼夢は冷める事がなく歩き続ける。
何かあれば、いつも必ず彼女を意識する、想い出す。
24時間、もう10数年間。一秒たりとも彼女の存在を忘れたことは無い。
桜が咲けば想い出す。
新緑の、あの暑い暑い夏を想い出せば想い出す。
秋の音色と紅葉で思い出す。
素敵な心地よい景色を見ては思い出す。風景を見てはまた想い出す。
冬の寒さに温もりを求めて、雪が降れば、イルミネーションに惹かれて
「この冬が、ずっと続けばいいのにと思いながら」
それでもまだ彼女を想い出す。
・・・・・・・・・・・・
僕の人生の中において、彼女がいなかった人生は無かった。
一思い(人想い)に、殺してくれとも思う日も時もある。
死にたいと想っても、彼女からは何も言葉も返ってこない。
死にたいと思わなくなった今も、彼女からの返事はもうない。
もうどこにも居ないような、もう死んでいるかのような世界。
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今はまだわからないけれど。実はもう、本当は解っているのだけど。
「僕らは幸せにはなれない。」
「そして、そのまま、このまま死んでゆくのだ。」
僕らは言う
「僕らは幸せになれないまま、このまま死んでいくだけだよ」
さて、さあ。これからどうする。
誰かに逢いに行こう。
夢から冷めるくらいなら一想いに誰か、嘘でもいいから愛して殺してくれ。
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僕らは悲劇に酔う少女みたいだ。
可愛そうに、幼気なまま死んでいく。
誰にも看取ってもらえず、誰かの優しさにも包まれず。
「健気に痛々しく死ぬだけの少女」の気分だ。
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