僕らが電車に乗るとき

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僕らが電車に乗るとき

寂しくて電車に乗った。 不安を抱えて、旅に出たかった。 寂しくて、いたたまれない。 不安が心の臓を刺す。切り切りと、チクチクと、苦しくなる。 うまく言葉では言い表せない痛み。 誰かに話を聞いてもらいたいけれど。 自分の醜態や、秘め事を晒すには勇気がいる。 このまま黙っていても、この苦しみが癒えることはない、このまま部屋でうずくまっていても痛みや苦しみは治まらない。 行き場のない怒りは、行き場のない悲しみは、 「自分が悪かった。」と、自分自身に言わす事が、言い聞かす事が出来ない。 例え口にすることが出来ても、本音本心では、それを自分で許すことも受け入れる事も出来ないのだ。 だから勇気を出して。 数時間でも、「あわよくば」数日でも。 寂しくて、旅に出た。 ただ、不安を抱えて旅に出ることにした。
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