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僕らはまだ生まれ育った地元という場所や存在を許せないでいる。
過去に強い執着を、負の連鎖をずっと今でも覚えている。
家族に対してもそう。親に対してもそう。
フラッシュバックとかいう言葉でこの感情を簡単に言い表されたくない。
気に入らない事には、黒だと、悪だと感じた相手や物事には折り合いが付けられない。妥協なんてのは出来ない。
あの時どうして、何で。どうして、何で自分が。
「自分だけが、、」と、まで思い詰まる。
いつも嫌な事やツラかった事は何年経とうが忘れることは出来ない。
当然、好きだった事や、大切だった人も同じように忘れることは出来ない。
眠れば忘れる事も無く、忙しければ忘れている事も無い。
違う事をしていれば意識が外に向く、新しい事をすれば意識が新しい事に向くことも無い。意識がそれることは無くても、どんどん重なって、生き続けていたら重なり続けていたのだ。今になったら、忘れていることもあると言われるけれど、忘れている訳ではない。整理できずに混濁しているのだ。
僕は言葉を上手く綺麗に並べることが出来ない。整理整頓も出来ない。
伝える事が苦手なのかもしれない。僕の存在自体が重いのかもしれない。
「あなたは言葉のボキャブラリーが多いから。語彙力があるから。それでも、みんなみんなが自分と同じように言葉を大切にしたり、知っていたり、使ったりしてる訳じゃないから。だから、あなたの一言一言で傷つく人がいるし、理解できない人も、苦しむ人もいるの。」
この短編集も最初は「僕らの一年戦争」くらいのタイトルで、数字にはこだわらずとも、タイムリミットや制限をかけて決めた所で作品が仕上がることは無いと思っていた。わかっていた。
案の定、4ヶ月間の出来事と、この大きなくくりで12年くらいの間で歩いた「旅」に関する話を織り交ぜようともしていたけれど、今のところ終着点は見えていない。
冒頭に近い、ここで書いてしまうのは良くないのかもしれないけど。
僕らはまだスタート地点にすら立っていない。0のままだ。1にもなっていない。始まっているのは時間、月日年齢だけで。まだ、僕ら想い描いていた世界への生き方もヒントも、行き方の糸口もきっかけも掴めていない。土俵にも立てていない。
レスタスで下地(ベース)を作って、ソラナックスで自分を保って、デパスで息をする。
僕はそうやって生きている。
「だから、私は許さない? うるさい。」
「だから僕もお前らを絶対に許さないし許しやしない。忘れやしない。」
僕はそうやって息をしてきた。
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