控えめな甘さで包んで

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「試験の点数。 なんかいっつも同じぐらいの順位にいるんだから、そりゃ意識ぐらいするだろ。 ライバルがいなくなるみたいな?」 「それはそっちが勝手に私をライバルにしてるんでしょ。 大学でもそういう人探せば?」 勝手にライバルにされても困る。 これから私たちが争うことはない、だってフィールドさえもちがうんだから。 「寂しいな、」 「もう勝手にして。 あと1回は試験あるんだから。」 いつもは教室の真ん中で騒いでいる人たちの輪の中心にいるこの男が、なぜ私がいなくなることに寂しいというのか。 理解が及ばぬうちに駅についた。 「じゃあ、」 「また明日。」 私は会いたかねぇよ、と反対側のホームに向かう堺の背中に悪態をつきながら、階段をのぼる。 「やっぱ、近いのかもな。」 見える階段の段数がいつかより少なくなっていて、きっとしばらくすれば何も見えなくなるのだと実感した。
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