控えめな甘さで包んで

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最寄り駅に着く頃には、もう日の光は感じられず、車窓にはビル明かりだけが広がっていた。 改札を出るとそこには母がいた。 小さな駅の3つしかない改札の目の前に、どこか落ち着きのない母がこっちを見ていた。 「瑞希ちゃん、遅かったじゃない。」 「ごめん、クラスの子とちょっと遊びに行ってた。」 「いつもより遅いから急いで迎えに来たのよ。もう真っ暗じゃない。」 母は私が夜盲になってから、暗くなっても帰らないとこうやって迎えに来る。 母の言う“いつも”は高校生活を楽しんでいるように見せるための嘘。 本当に友達と出かけてるなら、今日ぐらい遅くなって当然。 普段はひとりでカフェに行って時間を潰しているだけ。 過保護な母を心配させないためにはこれが1番の手段。
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