プロローグ

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プロローグ

「まって・・・・! やめ・・・・・」 私は無垢で、そして無知だった。 大人の男性にこんな力があること。 思いが強いほど、手に込められる力も強くなること。 そしてそれを振りほどけるほどの力を、私は到底持ち合わせていないこと。 その場に直面して、初めてそれを痛感したことを恥ずかしいとすら思った。 何も知らなかった。私の世界しか知らなかった。 そのままで良かった。 知らないまま、死んでいきたかった。 目の前のこの人の世界と、交わってしまった。 その事実をどう受け止めかわすべきか、私は途方に暮れていた。
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