血塗られたフランスの歴史

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また、我らがルイ14世も人間を閉じ込めた檻にヤマネコを放ち、下から加熱して暴れさせて楽しんだと記録されています。 動物刑にちなんで、我が国の血塗られた歴史をもう一つご紹介しましょう。177年、南東部のリヨンでキリスト教徒の少女ブランディーナが捕らえられました。キリスト教の迫害によるものです。ブランディーナはさまざまな拷問の末、網にくるまれて暴れ牛の前に投げ出されました。彼女は牛に何度も角で空中へ放り上げられ、刺され、踏まれました。それでも死ななかったので、最終的に短剣で刺されて殉教したのです。 我々も現在、宗教革命でこそありませんが、大戦の真っ只中にいます。サイバー攻撃に生物戦、生活の中でこうも敵兵の姿が見えないと、うっかり今が戦争中だと言うことすら忘れてしまいそうになります。ですからどうか皆さんも、くれぐれも生物兵器にはお気をつけて」  息を詰めて聞き入っていた聴取は、ピエールが最後に放った冗談にほっと息をついた。  ピエールはというと、仏頂面の神経質そうな顔つきで、何やらポケットをまさぐっている。それから大きく頭を動かして、客席を隅々まで見渡した。  薄暗がりの中、至るところで白い歯がのぞいている。ぼうっと浮き上がる輝く瞳は、どれも好奇心を触発されて生き生きとしているようだ。
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