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15時、巨大なスクリーンに光が灯った。
講演で使用する物でも入っているのか、その下には30cm四方の段ボール箱が一つ置かれている。
ピエールは革手袋をはめた両手をポケットに突っ込み、スクリーンの光を背に、ゆっくりと歩きながら問いかけた。
「人類の歴史とは、ずばり何のことでしょう?」
ほぼ満員とも取れる会場から、人々の視線が壇上のピエールに注がれた。どの目も好奇心に満ちている。
「愛の歴史? 違います。努力の歴史? いいえ。どちらも美しいが不正解、答えは争いです。人間の歴史とはすなわち戦争の歴史。人類は戦うことで、自らのアイデンティティを見い出してきたのです。
今日は、そんな我々の歴史の中で発展した処刑具及び拷問具を、いくつか皆さんに紹介したいと思います。ただし……」
そこでぴたりと足を止める。
ピエールは観客に向き直り、両手を広げて肩をすくめてみせた。
「あまり気分の良いものではありませんので、体調が悪くなったり、これ以上見たくないと思った方は、どうぞご遠慮なく後ろの扉よりご退出ください」
会場の後方に二つある出口を順に指差して、観客に退出路を示した。
会場のあちこちから、ちらほらと乾いた笑い声が上がった。
「さて」
気を取り直すようにピエールが一つ手を打つと、客席の照明が徐々に消え始め、しだいに暗闇に包まれた。
「それでは始めましょう。
処刑具とは、社会から犯罪者を一掃する掃除道具です。その掃除の歴史はとても古い。特に我が国においては、血塗られた歴史はそのまま、ここフランスの歴史と言っても過言ではない。まず初めに皆さんにお見せしたいのはこれーー」
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