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小さな悠斗
高いビルがずっと続く…スーツ姿の人が殆ど…中にカジュアルな人もいるけど…これがオフィス街…こんな半端な時間…あと10分で10時になる…でもこの人の多さ…
「お客さん 池畑建設が見えるとこまでって事だったけど、位置的に見えないけど、そこの信号 も一つ先 の信号渡ったらすぐだけど、どうします?」
「あ…降ります」
「その僕連れてたら、20分はかかるんじゃないかな」
大人しく窓の外を見ている悠斗に目をやった。
「悠斗 少し歩くけど、降りよう」
小さく頷くと荷物を確かめるように背中のリュックにさわる。リュックの横に付いたイルカのフィギュアが手に当たり微笑む。
「ぼくはホントお利口さんだったねぇ、はい、ご褒美」
運転手さんがおつりにキャンディをつけて渡してくれた。
「ありがとう…」
悠斗の手を繫いで歩き出す。
車から見てるだけじゃ分からなかったけど…結構皆歩くのが早い。邪魔にならないように端を行く…
悠斗は聞き分けがよくなった…
わがままも言わない…
お姉ちゃんが死んでから……
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