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副社長 榊原修平
秘書の真崎京(まさきみやこ)がノックの返事も待たずに書類を手に入ってきた。
彼女は来客中にすることはないが、榊原が一人の時はよく返事を待たずに入室するがそれで怒られたことはない。
興信所からの茶封筒の中を確かめている副社長の榊原修平(さかきばらしゅうへい)のデスクの端に書類を置く。
「急ぎのものだけ持って参りました。津田工業と平家産業のものです」
「見れば分かる」
肩をすくめ、チラリと榊原を見る真崎。
……全く…言い方…
「いい加減慣れろ」
「あら、今 声出てました?」
「いや、顔には出てたけどな」
右の広角を引き上げ、鼻で笑うように榊原が言う。
彼は仕事が絡まない限り余計な表情筋を使わないように思う。
二年前、前の副社長池畑遥人が事故で亡くなりその後に、この部屋で副社長となった榊原と秘書として紹介された時から。
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