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溺愛
~『Pet』前日譚 ~
ほんの僅かな隙間すら嫌だと言わんばかりに、ぎゅっと抱きついて来る体を抱き締める。
先刻までの情交の熱を残す体は俺の腕にすっぽりと収まる。
笑みを浮かべたまま、うっとりとした表情で葉太は瞼を閉じていた。
「ほんと、葉太は甘えん坊だなぁ」
「そうさせたのはいっちゃんでしょ?」
瞼を開けそのキラキラした瞳で葉太が俺を見た。
「俺がぁ?何でだよ?」
「いっちゃんが僕を甘やかして可愛がって、いっぱい愛してくれるからだよ」
「ふふっ」と笑う葉太のサラサラとした前髪を撫でる。
気持ち良さそうにまた瞼を閉じて葉太が笑う。
前髪の下から現れた額に唇を寄せると、瞼を開いた葉太の艶っぽい視線に晒される。
「ねぇ…いっちゃん…」
「ダメだ」
誘う眼差しで俺を見る葉太に即答すると、そのサクランボみたいな唇がぷうっと突き出された。
「え~、イイでしょ?」
「ダメだ。俺は明日、仕事だって言ったろ」
「いっちゃんは何もしなくて良いよ。全部僕がするから…」
そう言って俺の返事も待たずに、葉太がゴソゴソとシーツの中に潜り込んで行く。
いつも葉太は、最初のうちは隣の部屋で眠る守の事を気にして声も控えめなのに、徐々に積極的に求めて来る。
そんな葉太が可愛くて、結局俺も求められるままその体を貪るのだ。
熱く濡れて蠢く快感を味わいながら、この後、俺の上で揺れているであろう葉太を想像して、先刻よりも更に滾った。
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