溺愛

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まだぐっすりと眠っている葉太を起こさない様に、静かにベッドを脱け出す。 「おはよう、眠そうだね」 寝室を出て小さく欠伸を零していると、キッチンで朝食の準備をしていた守が俺に気づいて笑った。 「あぁ…ったく、葉太が全然寝かせてくれなくてさ」 ダイニングテーブルの椅子を引いて腰掛けると、守が水の入ったグラスを置いてくれた。 「葉太ってば、樹さんにベタ惚れだからね~」 「…お前は眠れたか?」 「え?」 「……その…何て言うか、昨夜は葉太に無理に声を出させ様としたからさ…」 「ああ……うん、まぁ…ちょっと……ね…」 困った様な気恥ずかしそうな顔でポリポリと額を掻く守の頭をポンポンと撫でて、バスルームへと向かう。 「どうしても気に入った飼い主が見つからない時は言えよ。俺も手伝うからさ」 「うん。ありがと、樹さん」 葉太と守に会ったのは、一人で飲みたいと偶々入ったバーだった。 そこでバーテンダーとして働いていた守とボーイをしていた葉太と、何故か話が合い気がついたら 「僕達ルームシェアしてたんだけど、色々あって部屋を追い出されちゃったんですよ」 「ふ~ん。じゃあ、2人とも俺の部屋に来るか?」 「良いんですか?!」 「ペットだと思えば、まぁ大丈夫だろ。但し、飼い主である俺の言いつけは守れよ?」 「それはもう!ありがとうございます!良かったね、マモ」 さほど多くはなかった荷物を抱えて、その日のうちに二人は俺の部屋に転がり込んだ。
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