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「痛えんだよ、ほんとに」
俺は母親に訴えた。
「だって、痛いのは二、三日だって先生が言ってたでしょ」
右の手首を折って、石膏ギブスで固められてから一週間。たしかに菅谷病院の先生は、折れたとこがくっつけば痛いのは治まると言ってた。でも、ぜんぜん治まらないし、痛くなるばかりだ。
「たのむから、ちがう病院連れてって」
「でも、あたしじゃ」
わからないとか、連れてけないとか言う。いつものことだ。
「あした、おとうちゃんが出張から帰ってきたら、もう一度話して」
俺はわかったと答えて、だめだったらタクおじちゃんに頼もうと決めた。タクおじちゃんは親父の弟だ。親父とちがって話が通じる。
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