後編

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「ここ最近、ちょっと色々あって」 「?」 「兄さんは、ちゃんと仕事もしているし、このゲームにのめり込む事を『趣味』と位置づけるとしたら、それも充実している。傍から見れば『充実している毎日を送っている』と思う。私も、やるべき事はちゃんとしているからと思っているんだけど……」 「ああ」  友人の言いたい事は……何となく理解出来る。  つまり『このままでいる』という事が「友人の兄にとって幸せか」という話なのだろう。 「それで、母さんが勝手に結婚相談所に登録しちゃって兄さんと盛大に喧嘩しちゃってね」 「あらら。気持ちは分からなくもないけど、そういう事をする場合はちゃんと相談しておかないと」  いくら家族とは言え『親しき仲にも礼儀あり』というヤツだろう。 「兄さんが怒ったワケは分かる。私だって、勝手にそんな事をされれば怒る。でも、兄さんの年を考えるとそろそろ……とは思う。ただ……とも、思っちゃって」 「まぁ……そうね」  当然、友人のご両親の言っている事も理解出来る。それに『親の心、子知らず』なんて言葉もあるくらいだ。ただまぁ、なんであれ、基本的に親は子供の幸せを願っている。 「そんな事を考える始めると、色々と考えちゃうんだよ。確かに、今の兄さんは『幸せ』なんだろうけどさ。それでも、ずっとこのままでもいいのかな……って」 「…………」 「ネットとかゲームとかってさ。確かに便利だけど、ずっとそれに頼りっぱなし、浸りっぱなしって……いいのかなって、それが『本当の幸せ』なのかな? って、頭の中で色々と考えちゃって」 「――随分と深い事を考えているのね」
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