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「だってさ。このままで大丈夫……とは、どうしても思えなくて」
「そりゃあ、そうでしょうね。人間は否応なしに年を取るんだから、ずっと将来の事は考えなくちゃいけない」
「……将来」
「でも、お兄さんもさすがに考えなしではないと思うわよ?」
「そう……かな」
「気になるなら、一度聞いてみたら?」
「え」
「もしかしたら、その時は言いたくても言えなかったけど……とか、親にはまだ言えない……って事もあるかも知れないじゃない」
私はそう言いながら、水筒の飲み物を飲んだ。
「……確かに、それはあるかも」
「それに、お兄さんは一人暮らしなんだし、あなたが見ている姿がお兄さんの全て……ってワケでもない。意外にちゃんと考えているかも知れないわよ?」
そう言うと、友人は「そうかな」と言いつつも、どことなく何かを決心したように「帰ったら、早速お兄さんに連絡をしてみる!」と言って、荷物をまとめた。
元々、お弁当箱くらいしか出していたかったのだが、あっという間に片付け終え「じゃあ!」と言って足早に帰って行った。
そんな友人に対し「うん、じゃあ」と私もそれに応じて、片手を軽く振って見送った。
「…………」
一人残った私は思わず「相変わらず、騒がしいわね」と、独り言を呟いた。
「それにしても、幸せ……ね」
一言で表現しようと思うと、なかなか難しい。
それに、この『幸せ』というのは『人それぞれ』ではないだろうか……と、私は思う。
「私の幸せは……なんだろう」
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