後編

3/4
前へ
/8ページ
次へ
「だってさ。このままで大丈夫……とは、どうしても思えなくて」 「そりゃあ、そうでしょうね。人間は否応なしに年を取るんだから、ずっと将来の事は考えなくちゃいけない」 「……将来」 「でも、お兄さんもさすがに考えなしではないと思うわよ?」 「そう……かな」 「気になるなら、一度聞いてみたら?」 「え」 「もしかしたら、その時は言いたくても言えなかったけど……とか、親にはまだ言えない……って事もあるかも知れないじゃない」  私はそう言いながら、水筒の飲み物を飲んだ。 「……確かに、それはあるかも」 「それに、お兄さんは一人暮らしなんだし、あなたが見ている姿がお兄さんの全て……ってワケでもない。意外にちゃんと考えているかも知れないわよ?」  そう言うと、友人は「そうかな」と言いつつも、どことなく何かを決心したように「帰ったら、早速お兄さんに連絡をしてみる!」と言って、荷物をまとめた。  元々、お弁当箱くらいしか出していたかったのだが、あっという間に片付け終え「じゃあ!」と言って足早に帰って行った。  そんな友人に対し「うん、じゃあ」と私もそれに応じて、片手を軽く振って見送った。 「…………」  一人残った私は思わず「相変わらず、騒がしいわね」と、独り言を呟いた。 「それにしても、幸せ……ね」  一言で表現しようと思うと、なかなか難しい。  それに、この『幸せ』というのは『人それぞれ』ではないだろうか……と、私は思う。 「私の幸せは……なんだろう」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加