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普段でも、この女の真意など分かったためしがないが。
勝手ながら、これは人を煙にまくことを何よりも好む、そんな女だと思っている。
或いは、私とは違う景色を、それでいて地平線の彼方まで見通しているのではないか。そう思う瞬間も多々ある。
だが、おそらく今回は、
「お、晃の後ろで全裸の痴女が「オッパッピー」を。こりゃあ、見るしかないね」
ねえよ。
「お、気にしたね。手元がブレたよ。先生もお盛んだねー。マジになんなって」
たまに、マジだから怖えよ。
つい、こないだ異世界に飛んだばかりなのだ。
痴女の「オッパッピー」くらい普通にあり得る。
「なんなら脱ぐ?今なら大人のマッサージもサービスするけど」
いらん。
なんて事はない。
この女、ゲームで負けそうなのだ。
気をそらせれば、お題は何でも構わない筈だ。…本当にいないよね?
『K.O!GAMESET!』あ、勝った。
『Winner.Nils Wurns!』くっそ、負けたー。
『出来ればもう、遭いたくないね』はは、まったくだ。
「ちっくしょー、最近勝てねーなあ。これでも世界ランカーニャンだぜ?いや、マジで。『ええい。乳を乗せるな。鬱陶しい』
マジで、大会出ようぜー。タッグマッチとか相手見つかんねえのよ」
いや、流石にそこまでは入れ込んでないよ。
「大体、自分の立場を考えろよ。『傾国』が無闇に表に出たらどうなるか。最悪、町一つ消し飛ぶ」
「ん〜。そこは、国一つでしょん」
笑えねえよ。
ま、そこは色々と抜け道があると豪快に笑ってみせた。口の端に見え隠れする鋭い牙が、私達人間とは根本的に別の何かだと改めさせられる。
「ん。キスしよっか?ご褒美的なアレで」
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