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こちらの視線に気づいたようだ。その誘いは御免被るが。
そろそろ、うざくなってきた。
「んじゃあ、…そろそろ本題に入りましょうか」
突如、甘い空気が一変した。
これまでのこちらを小馬鹿にした様な軽薄な笑顔はそのままに、場が凍りついたのだ。
目が怖い。凄く、怖い。
実の所、週末に、遊ぼうと誘われた時からやな予感しかなかった。
「ん。」
こうなるとこの女は怖い。
そのまま、目で促してくる。…何だと思う。
少し考える振りをして、諦めた私はゆっくりと重い口を開いた。
「いや、別に嫌じゃねえよ」
そう、嫌じゃない。
騒々しい毎日。また一つ悩みの種が増えたが。
昔は、この女への気苦労だけで一生を費やすものだとばかり思っていた。
それが気付けば五人に増えていた。…ひょっとすると六人かもしれないが。
けど、それでも嫌じゃなかった。
「まあ、何でかな。気がつけばいつも、目で追ってる自分がいた」
好きだと思う。
いつも一緒にいたい。決して本人には言わないが。
彼女のそばにいると心が躍る。いつからかはもう、覚えていない。
始めの頃は、ケンカが絶えなかった。
殺してやりたいと思った事も一度や二度じゃない。
もう、無理だと諦めていた。
「…あの日だ、私は、初めてあいつをちゃんと見た。…と思う。それが、きっかけだった?、…いや、そもそも始めから」
そう、思えば最初から私は、…
「愛だろ。それ」それもLOVEよりのLOVEな。
ぶぉっは!
「おまえ、女の子はそばにいるだけで気持ちが通じ合うとか思ってるだろ」
「また、おまえはすぐそういう事言う」
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