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 伊藤さんの言葉に住職が視線を下げる。写真を見た瞬間、目を見開いた。そこで慌てて割って入ったのは奥さんだった。置かれた写真を勢いよく手に取り住職に見えないよう体で隠す。 「こ、これは」  焦る奥さんに、九条さんが言った。 「三ヶ月前、娘さんを亡くしてるんですね」  奥さんは無言で答えなかった。唇を固く閉じ、ぶるぶると小刻みに震えている。  伊藤さんが調べてくれた内容だった。三ヶ月前、交通事故で二人は一人娘を亡くしている。見通しのよい交差点で、居眠りしていたトラックに突っ込まれたらしかった。娘さんは即死。運転手も逮捕されている。奥さんの手に挟まれた写真は、その娘さんが写っているものだった。  名前は上浦エリ、というそうだ。  何も反応がない二人に、九条さんが静かな声で言う。 「ここからは私の憶測です。一人娘を亡くし悲しんでいた住職は、やってはいけないことをしたのではないですか。  質の良い人形を手に入れて、そしてそこに……エリさんを、おろした」
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