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 菊池さんの嘘さえなければなんて簡単なこと。弥生さんは自分を殺した人物、そして自分の首が保管されている場所に愛犬と共に現れていただけ。 「……弥生さんは、私に警告してくれてたんでしょうね……」  私の部屋や事務所に出てきたのはてっきり、調査が進まないことに対する催促かと思っていた。でも今思えば違う、彼女はただ菊池さんに気をつけてと言いたかったのだ。そして私の命も助けてくれた。  声が出ないので中々伝わらなかった。首のない姿で必死に訴えてくれていたのに。  私の囁きをきき、目の前に座る須藤さんがとうとうポロポロと涙を溢れさせた。それは次から次へと頬をつたいそのまま膝へと零れ落ちる。肩を震わせ、須藤さんは嗚咽を漏らす。 「どうして、お姉ちゃんがあんなことに……! 私、これで、とうとう一人ぼっちになってしまったっ……。しかも、死んだ後も首を切られるだなんて、そんなこと。何をしたって言うの? お姉ちゃんは私のたった一人の家族だったのに……!」
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