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落ち着いた須藤さんを駅まで送っていく、と伊藤さんが気をきかせてくれたので、そのまま二人を見送った。須藤さんはかなり落ち込んでいたけれど、どうか時間をかけてでも立ち直ってくれることを祈る。まあ、これからがまだまだ大変なんだろうけど……遺体も見つかってそんなに経ってないしな。
私と九条さんはそのままソファに腰掛けたまま黙り込んでいた。ぼんやりと今回の調査を振り返る。
なんて悲しく恐ろしい展開だったんだろう。命の危機にあったんだと今更震え上がってしまう。
私は腕を摩りながら言った。
「まさか、私たちが滞在していたあの部屋に弥生さんの首があったなんて……考えられません」
全く気づけなかった、弥生さんごめんなさい。菊池さんの演技にまんまと騙されていたのだ。
九条さんも苦々しく言う。
「まるで映画の中の世界ですね。彼と弥生さんは大福の散歩の途中で時々会う仲だったそうです。安易に想像できますが片想いを拗らせ、あの日告白し断られたのを逆上して犯行に至ったと。光さんと全く同じ流れです」
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