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「ま、またそれですか……! やめてください九条さんは何も悪くないんですから。あんなの見抜けって言う方が無理ですよ、菊池さん自体はぱっと見普通のちゃんとした人でしたし。頭を上げてください」  私は慌ててそう答えた。九条さんは長めの髪を揺らしながら顔を上げる。その表情はいつになく暗く見えた。いつだって能面な九条さんがそんな顔をしているのを初めて見た気がする。  でも本当に九条さんが責任を感じることはないのだ。悪いのは犯人なのに。 「ていうか、九条さんと伊藤さんが来てくれなかったら私は今生きてませんし、こっちがお礼を言わなきゃいけないんですよ。本当にありがとうございました」  今度は私が頭を下げるが、彼の表情は晴れなかった。私から目を逸らしたまま言う。 「いいえ。あれは弥生さんと大福の霊が誘導してくれたから間に合ったのです。その力が無くては私は何もできていなかった。初めから何か違和感を感じていたのに正体に気づけず、あなたを一人にした私の責任です」
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