第一章 餓狼と野良犬

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 ハルカイは木々を飛び移りながら都市から離れること十数分とある小屋に着き中へと入る。  中は中央に穴がぽっかりと空いていた。その穴の中へと入る。  穴の深さは約15Mもある深さのそこに着陸するハルカイ。  底は洞窟の様に広がっている。するとハルカイは急に腹部を抑え込む。 「ア アァァアァアァァ!ガッハッ!」  口から吐き出したのは血と胃液混じりの、人間の肉片と骨を吐き出した。  すると洞窟の奥から五人の男達が現れた。  肥った男がハルカイを近付きなりハルカイの腹を蹴り上げられ短い悲鳴を上げる。壁に当たりズリズリと重力に従い地面へと落ちる。追い討ちとして踏みつける男。 「ギャンッッ!」 「この、駄犬がッ!!何失敗してやがんだ!この糞野郎がぁぁ!!」  肥った男がハルカイに命令したのは、自身の父親の殺害、都市近衛騎士団隊長の殺害を命じた。  そう薄々気付いていただろう、この男は都市を混沌へと落とし入れた張本人である。  何故、そんな事をしたかそれはとある国から話をした事約半年前から遡る。  建国記念日にとある国の男からこんな話を持ちかけられた。 「王に、成ってみないか?」と。  そんな見え見えな嘘だろうと思った男だが、「不満か、ならこの『駄犬達』をやるまずは自分の親に『反抗』するんだな」。  計画は順調に進んだ。  だが、その駄犬達は一匹では無かった五匹居たのだ。  何故一匹に成ったかそれは『共食い』をさせたからだ。  ふざけた事だが『蟲毒(こどく)』と呼ばれる呪術をしたコトだ。  蟲毒とは何匹かの虫を壺に数日間閉じ込めて生き残った虫を意味をさせた。  それをさせた。実行させたのだ。  何十日か地下室に閉じ込め空腹を共食いをさせるそして、最後の一匹を生かし従わせる。  そのトラウマがあるハルカイ、いや人の形をした醜い化け物は怯えていた。斬られるよりかはマシだと思いながら耐えていた。  蹴り疲れたのか汗だくで息を荒げている。 「クソッ!クソクソ!くそったれぇぇ!!」  腰に付けていた剣を抜く。  剣先はハルカイの背中を突き刺す。 「グッ、ギャァァァァ!!!」  洞窟の中を木霊するほどの悲鳴を上げた。  剣を抜き別の所に刺し悲鳴がまたも木霊と化す。  地面はハルカイを中心に血溜まりが円上に描く。剣を抜いた。  ハルカイは、微かな息をし生死を迷わせていた、涙目をしながら手を伸ばした。  爪先を伸ばし首元を斬り仕掛けた瞬間、別の男がハルカイの腕を切り裂き、両目を剣先で掻ききった。 「・・・・っぁ・・・・」  声は消えそうな悲鳴を上げた。  斬られた手を宙を掴むかの様に手を、伸ばした。手の無い先は、縦穴の先に伸ばしているかの様に。  「・・・・タ・・・・すケ・・・て」  その言葉に答えるかの様に突如として縦穴の奥から足音が微かに聞こえ落ちる音。  その足音の正体が現れた。  黒く厚い甲冑を着込み5本角の黒鬼の面を付けた男。腰には太刀と小刀の二本を付けている。  男五人はそいつを警戒した。 「おっと、間に合ったか」  無警戒の様な声、そして少しの殺意が混じりながら別のを呟いた。 「なぁ、獣をいたぶってて楽しいかい?坊や」  突如として現れた男に肥った男は声を荒下ながら口にした。 「貴様は誰だ?!」 「俺か?俺は・・・・黒鬼神って名乗ろうか」
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