第一章 餓狼と野良犬

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第一章 餓狼と野良犬

──────────────────── ─────君達に問おう。 ────反逆、それはなにかと問おう。 ────正義、それはなにかと問おう。 ────悪、それはなにかと問おう。 ────偽善、それはなにかと問おう。 ────義悪、それはなにかと問おう。 ────王、それはなにかと問おう。 ────愚王、それはなにかと問おう。 ────光、それはなにかと問おう。 ────闇、それはなんだ? ────光の中にありし存在。 ────表に現れてはならない存在。 ────そなたは、誰か聞こう。 ────覇者か?王か?凡人か?騎士か?戦士か?兵(つわもの)か? ────じゃないのなら、そなたは、誰だ?  頭の中に流れた言葉と共に俺は起きた。  上半身を起き上がらせると頬に付いた書類類の紙がペリと剥がれ落ちた。  書類作業、していた最中に寝落ちしたようだ。 「・・・・古代小説読みすぎたか」  最近は徹夜続きだからなぁ。  散らかった書類類をまとめ終える。   「眠っ・・・てか秘書やら書類作業のやつ、正統ギルドから願おうかね?無理なら、闇市で探してみるか」  無駄口を叩きながらも俺は家に帰ろうとギルドマスターの作業室から出た。  階段を降り一階に降りる。  一階は酒場と共にギルドの受付所が半分半分となっております酒場からは笑い声、そして悲鳴が聞こえた。 「って、ここで殺すなってあれほど言っただろお前達」  血が床に滴り落ち汚れる。  俺に気付いた五人のギルドメンバー達は俺を見るなり机と死体もろとも燃やし出口目掛けて走り抜ける。 「げっ!やべ!ギルマスだ!」 「依頼ちゃんと受けんで今回は見逃してなー!!」 「殺される間に!俺は逃げるっ!!」 「弁償するんで許して~!!」 「逃げるが勝ち」  あっというまに五人のギルドメンバー達は逃げた。  焦げ臭!まぁ死体処理すんの俺ではないし・・・・後で処罰書を送るかねぇ~。  手を鳴らし彼らを呼ぶ。   「エド!アルバート!死体処理しておけ!」 「「・・・・」」  背後に二人が現れ無口淡々と手慣れた作業をする。  相変わらず無口だなあの二人は。  何か喋って貰いたいもんだよ。  二人を尻目に俺は手を振りながら自宅の帰路を歩く。  俺がいる場所は、ペンドラゴン帝国の中にあるイビルドラ小国の王都にいる。  ペンドラゴン帝国の属国は五国ありそのうちの一国家である。  その中にある闇ギルドのギルドマスターが俺だ。  何でも雇い何でも受け入れる闇ギルドだ。  言い換えれば色んな違法な依頼や正式な依頼を受けるギルドだ。  ギルドメンバーは約50人もおり半分が犯罪者(強姦やら性犯罪者は除く)であり半分のうち二割が殺し屋、もう半分が暗殺者、残りの1割が魔王崇拝者だ。  そのうち常識人なのが・・・俺だけというまぁツッコミたい所だらけだ。  いやまぁ暗殺者の中にはちょっと常識人はいるが。 「あー、普通に残業疲れた」  髪の毛?薄くならんよ。ストレス自体ないからな!!ハッハッハッ!!  変なマウントを取る俺だが・・・。  誰もいない夜道、一度止まり後ろを向く。 「・・・・(気配が薄い・・・どこかの暗殺者か、ヘイト貯まってきてるなぁ俺に)」  殺意と気配を感じながら歩く。  いやー、星やら七水月(ななすいげつ)が見える。七つの水色の月の事を意味する事だ。  その時、二本のダガーが闇ギルドマスターに向けて空中を切り裂き飛ぶ。狙う先は、首元。確実に狙っている。  ダガーは闇ギルドマスターに当たらる寸前で砕け散った。突如としてだ。 「・・・・ッ!」  暗殺者は次のダガーを飛ばそうとしたが足に違和感を持った。  視線を向く暗殺者。そこには、空間が歪み骸骨の骨の手が両足に掴んでいた。  逃げないようにだ。何に?それは、鎌。  暗殺者の背後に突如として現れた鎌を持った骸骨が鎌を横凪ぎに上半身と下半身に切断した。  下半身は骸骨の手と共に歪んだ空間の中に引きずり込まれ消えた。  上半身は壁に当たりずるりっと地面に落ちる。 (っっっ?!痛みが、こない?!なぜ?!) 「痛みがこないだろ?その鎌の攻撃は」  カツン。  振り向いた闇のギルドマスターは何処からともなくシルクハットを取り出し深く被る。 「鎌の名は、苦痛鳴きの大鎌。後から倍として帰ってくる呪いの武器だ。」 「~~~~!!!」  その言葉と共に声にならない声で叫ぶ暗殺者。それを嘲笑うかのようにまた靴を鳴らし近付く。  目の前に近付き顔を隠していた布を取っ払う。 「さて、処の暗殺が仕掛けてきたか聞きたが・・・・いやはや女とはねぇ」  暗殺者の顔には、苦痛と涙を流していた。  通常、暗殺者は苦痛等の耐えることができないと行けない何故なら依頼主の信頼を失うことだ。 (ハ、ハニートラッ) 「無理だなてか半身ない人間に欲情湧くかアホ」  ふざけた言葉は、暗殺者に絶望を与えた。  何故?読心術なのか?そんな素振りや動作をしていない。  ましてや、悪魔ではあるまい。 「それとだな、お前は地獄行きだ、冥界に行かず地獄行き。助けを乞うなよ?あいつらは残忍極まりないからな」  這いずってでも逃げようとする暗殺者だが地面から何本の肋骨の骨や手が生えいき地面の中へと引きずり込む。  嘆きの声を上げる暗殺者の頭部を持ち言葉を放つ。  闇のギルドマスターの顔は微笑んでいた。 「ゲームオーバーだ、リセットは無理と言っとこう」
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