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決して有吉を嫌いになったわけじゃない。
ただ、あの落書きを見られたことで、気が済んだと言うか、その想いが届いたような錯覚に陥ったのだ。
その後の彼からのリアクションが無かったことも幸いして、……つまり、脈なしと受け止め、まどかは自分の淡い恋心を手放し、その心は空に羽ばたいていった。
そう、青春よ、サヨウナラ。
そのタイミングで受験勉強も本格的に追い込みに入り、部活にもほとんど行かず自然と有吉と会う機会が減ると、まどかはやがて、あの恋焦れて胸を騒がせていた日々が懐かしいとさえ感じるようになった。
*
終業式、十二月二十四日。
成績表をもらい、友達に別れを告げた後、みちるや山口、まどかたちメンバーは部室に集まった。
だからと言って特別に何をするわけでもなく、ただ三学期に入ったら、もうほとんど交流が無くなるであろう部員達と、最後の顔合わせをするのが終業式の恒例になっていた。
まどかたちの他にも三年生はまだ数人ほどいて、それぞれが後輩たちと談笑している。
山口も相変わらずバカ話をして皆を笑わせ、「先輩は留年ですよね」といじられていた。
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