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并政十四年、大企業倒産
その年、社長室にて。
「いつか、こんな日が来ると思っていたよ」
「意外だろうが別に、悲観しているわけじゃないんだよ」
「僕にしては、よくやったさ」
「最も、最後に君が現れるとは思ってなかったがね」
「今更、何の用かね。君は既にここの社員ではないだろう。なに?暇つぶしに来たと」
貴女は、本当に意地悪だなあ。
「暇だというなら、最後にこの老体に付き合ってくれないか。
なに、別段難しいことではないさ。
手続きが、会社を手放すまでの間だけでいい。
少し、昔話に付き合ってくれ」
聶和四十年、冬
「あれは、私がまだ若く。未来に希望を持っていた頃だった」
「丁度、カラーテレビがで始めた年でね。私はコレだと思ったもんだ」
「私は、早速テレビ局に就職したさ。
その際、内定していた大手企業をけったものだから親はもう、かんかんでね」
「私は、家を追い出され家族の縁を切られてしまった」
「これで、後には引けなくなった」
「この状況は、チャンスなんだと自分に言い聞かせながら」
「それからは、ガムシャラに働いた」
「仕事は選ばなかった」
あの日は、雨だった。
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