化野奈津江と私

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先程までの自分が恨めしい。こんなものが、明日の自分だと諦めていたのだ。 此処にはいたくない。 こんなものが、人間であるものか。 此処に甘んじるくらいなら死んだ方がマシだ。 私は、こんな負け犬になど落ちてなるものか。 「さて。交番はどこだろう」 何か身分の分かるものがあればいいのだが。 当時は、まだスマフォなどなく。 結局、その後、三時間程かけてようやく落し物を届けることが出来たのだ。 我が事ながら難儀な性分だと自覚した。 だが、後悔は無かった。 私は、やはり人間なのだと確信出来たのだから。 何とでもしてやる。 私はまだ、自分を諦めてはいないのだから。 「君、面白いね。よく馬鹿って言われない」 ふと後ろから声をかけられた。 もっとも、今の私に価値などあろうはずも無く勘違いだろうと思い直した。 「あ〜、もしもし?そこの君?ちょいと背の高い、半日前まで猫背だった君だよ」 成る程、勘違いではなさそうだ。 が、その声に覚えは無く、ここで振り向くのは早計だと思えた。 「あ、無視だ。無〜視〜だ〜。いいよん。勝手に勧めるから、興味持つまでついていくから。君に選択肢とか全然ないから」
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